大人になれないファーストラバー
玄関脇の階段から教室に戻ろうと思い、廊下の角を曲がって階段に差し掛かると。
短いスカートを手で押さえもせずに階段を登ってる女子がいた。
ほんと。
こういうのは目のやり場に困る。
中学のときはある程度長さのあるスカート丈だったから気にならなかったが。
高校になるとヤバイくらい短くなる。
ただでさえ多感な時期なんだから少し考えてほしいもんだ。
「俺は見てない」と主張するように思いっきりうつ向きながら階段に踏み出した。
すると、
「きゃっ」
と、突然悲鳴が聞こえる。
ハヤマのせいで声に敏感になっていて、本当に心臓が跳ねたようにどきりとした。
驚いて見開いた目のまま階段上を見上げると。
その女子は踊り場に倒れ込んだ。
過剰な芝居にも見えなくはないが、本当だったらかなり痛そうなコケ方だ。
思わず足を止めて女子のその様を見ていると、ばっちり視線が交わる。
何か声をかけたほうがいい気がするが。
蛇に睨まれたカエルになった気分で唾を飲み込むことさえ出来ない。
そうやってるうちに、なんだか女子の視線がなまめかしくなってきて。
ついに顔を逸らした。