プリンス君家の7日間
―……そんな記憶があったのだ。
「…あの時の黒猫だったなんて。分からなかった。」
当たり前だ。
同じ目線に居る黒猫は、昔の仔猫の時よりもシャッとした顔立ちで、人間ならばカッコいいという部類に入るであろう。
まぁ、人間ならばなどと考えるのはおかしいが…。
「あのハンカチを結んでくれたあと、俺はアンタに礼がしたくて家を探した。」
黒猫は道端に座り込むと、昔を懐かしむように話し始めた。