あの暑い 夏の記憶

そんなわたしを見て。

「心配いらないよ。軽い貧血。水飲んでも吐いちゃうしね。食欲ないから。ほら…これで栄養摂ってるの。っても食塩水にビタミン注射してるだけ」

と、管の先に吊されている中身が半分のパックを差した。


「苦しい?」


「今はもう吐き気もないし楽だよ。ツワリって言うの。2ヶ月くらいは続くかな」


「ツワリ…?そんなに続くの?」



本当は2週間前から酷い吐き気がしてたって…。



「…じゃあ。…葵ねぇ熱出した時から…?何ですぐ病院行かなかったの…」


「あれね。病院嫌いだから!ほんと熱が下がらなくて焦ったよ!」


「札幌…。行った時も…」


「…行きたかったから。心音と日夏と、…行きたかったから!」


「仕事…、普通にしてた…」


「うん、仕事だから。みんなに迷惑かけられないからね」


わたしにもわかるくらい、無理して笑ってる。


病院が嫌いなのは知ってたけど…。

バカみたいだよっ。


こんな葵ねぇなんて見たくなかった。


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