あの暑い 夏の記憶

「ここで搾乳した後の生乳は、パイプラインでバルククーラーって言う、生乳を冷やす冷蔵タンクに送られるんだ。
冷却して、一時このタンクに貯蔵。
その後、タンクローリーで集荷され、牛乳工場へ運ばれるんだよ」


準くんが丁寧に教えてくれている間、わたしたちは見たこともない機械や道具に夢中だった。


いくつもの大きな機械があって、黒い線が張り巡らしている。


「このタンクで、1回目の搾乳で4度まで下げて、2回目で10度まで下げるんだよ。
タンクローリーで5度以下で運ぶんだ。温度管理も楽じゃないよ」


乳牛は搾乳しないまま放置すると、乳房炎という病気になるから、細かい管理が必要なんだよ。


「…えーっ、ずっと搾り続けるの?」


「そうだよ。四歳か五歳になって、乳量や乳質が落ちたら、搾乳の役目を終わらすよ。
業者に引き取りに来てもらって殺すか、エサを与えて肉を付けさせて、肉牛として出荷するんだ。でも高齢な牛はなかなか売れないよ」


「…殺しちゃうの?」


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