あの暑い 夏の記憶
下向き加減で準くんが呟いた。
「…何か、男で申し訳ないっす」
その言葉に葵ねぇはすかさず、眉間のシワを緩め。
「…!何言ってんの、そんなことないから。男手足りなくて困ってたんだから助かる」
葵ねぇはニコッと、わたしたちには見せない笑顔を作る。
「でも…」
困り果てた準くんは、泣いている旭の前まで歩み寄り、紙袋を2つ差し出した。
「…?」
不思議そうに見上げた旭は、ガサガサと袋を開けた。
わたしも日夏も、旭の手元を食い入るように見つめた。
「女の子ならこれ持ってけって、うちの親が…」
「あっ!!…かわいーっ!」
白い大きなリボンが付いた麦藁帽子。
涙を吹き飛ばした旭はそれを被って見せ、立ち上がるとくるっと周りながら喜んでいた。
「…もう。ちゃんとお礼言いなさい!」
呆れた様子の葵ねぇに言われ。
「ありがとう準くん!」
笑いながら飛び跳ねていた。
「…これは…!?食い物の匂いがする!」
そう叫び日夏は、もうひとつの袋をクンクン、と犬の真似して匂いを嗅ぎ回る。