未完成人一家
長女を救った男

大晦日の事件がきっかけとなり、弘樹は何かと香代子を家に呼ぶようになった。

香代子は夏休みや正月などに沢山の東京土産を持って帰るようになった。

母には彼氏がいるらしく、家にいないことが多かった。

代わりに父の酒の相手をするのが香代子の役割となっていた。

話しの節々から、弘樹の不倫は終わったことを香代子は感じ取れた。

不憫に思う気持ちもあったが、帰省の度に香代子の土産を真っ先に開け、
外で酒を呑みに行くのにも財布を持たずに家を出る父を見ていると納得がいった。

『香代子ぉ、いつも悪いねぇ・・・・』

誰も奢ると言ってないのに・・・
ケチな親父だ。


真奈美は今ではもう、父とはろくに口も聞かないらしい。




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