【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙⑤〜
「香月など、生まれ卑しき妾腹の子。まして、父親の身分でさえも、若君方には不相応。一時の感情に流されては、後がお辛うございますよ、中若君(なかのわかぎみ、二の君)」

西の方のこのようにおっしゃるのも、いかにも最もらしくて、二の君には、まだ年端もゆかぬこととて、他の女性(にょしょう)を恋しく慕う経験もなくて、お黙りになるのを、兄君は、愛おしげに肩をお抱き寄せになるのでした。
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