†Devil Kiss†
*    *    *



「ユハが暴れまくっているんだよ。愛しい君を待ってね」


「え・・・」



空に舞い上がった直後に目を瞑り、セドリックの動きが止まったので、目をゆっくり開けると、そこは城の真上だった。



「ユハはどうして?あんな野蛮な人はユハじゃない。あなたなんでしょ!?ユハに何をしたの?」


「別に何も・・・ただ元に戻したまでさ。悪魔の性に」



セドリックは妖しく微笑んだ。



「悪魔の性?」


「そう。理性を失わせたんだ。悪魔は自分の欲を我慢しない。したいことをしたい時にする。それが悪魔なんだ。殺し合いなんて日常茶飯事だよ」


「そんな・・・まさか」



想像しただけで、気を失いかける。



そんな、怯えたローズを見たセドリックは益々気分をよくした。



「僕はね、本当はユハに君を殺してほしかったんだけど・・・」


「な!!」


「でもどうやら難しいらしい。何てったって、君のことしか頭にないみたいでね。俺の言うことも聞かないし、君の姿を探して城中を走り回っているよ」




ユハ・・・・・・・



狂ったユハが心配で悲しかったが、そこまで想われていることを、ローズは不覚にも嬉しく思った。



だが、ユハが魔術にかかったことには変わりはない。



だったら、あたしが助けてみせる。



ローズは心に刻んだ。




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