†Devil Kiss†

渇望

クロードは一体何してるの?!



空には不気味な黒い雲しか見当たらない。



どうして肝心なときに・・・



「キャッ!!」



ローズを見てみると、空にいたはずのセドリックが、ローズの目の前にいた。



「あ、ローズ!!!」



アリスの慌てぶりを無視して、ローズに優しく話し掛けるセドリック。



「Bonjour お嬢様」



この人がユハのライバル?



「悪いけど、時間が無いんだ。一緒に来てもらうよ」


「え?キャッ!?」



そう言うと、セドリックはローズを抱き上げ、空へ舞い上がった。



「セドリック、ローズをどうするつもり?!」


「今は悪いようにはしないから、ご心配なく」




そう言うと、セドリックはローズとともに姿を消した。




「あ・・・どうしたら・・・」



アリスは焦っていた。



その時、後ろから草の音がして振り替えると



「クロード!?」



血を流す肩を押さえながら、ヨロヨロと歩いてきた。




「悪い・・・油断した」


「酷い傷ね」



クロードの体を支え、肩の傷を見ると、大分深い。



だが、今はこっちのことで頭を悩ませることは出来ない。



「クロード、ローズが」


「あぁ、わかってる。早く・・・城に行こう。グッ・・・」



傷が痛むらしい。



悪魔は、人間よりはタフだし簡単なことでは死にはしない。



だが、級が上な上に、セドリックのようにかなりの力を持つ悪魔から攻撃を受けると、回復は通常よりも遅くなるのだ。



「俺は平気だ。行くぞ!」



クロードはそう言うと、翼を広げ、暗い空に舞い上がった。




全く、無理しちゃって・・・



その後をアリスも追い掛けた。


< 113 / 149 >

この作品をシェア

pagetop