†Devil Kiss†
「そして、あなただってその中の一人だったはずよ」



そう言うと、セドリックはかすかに視線を動かした。



「書物庫で見つけた書物の中に、人間の男に恋をした悪魔の女性のことが書かれていた。3年ぐらい前のこと。丁度あなたが、魔の谷に行き始めたぐらいかな?」



セドリックは目を瞑り、黙っている。



クロードは、アリスの肩に手を置き、何とか自力で空中に浮こうとしていた。



そんなクロードをアリスは「まだ無理だから」と言って、そのまま抱き抱えていた。



「最初は、何もかもユハを殺すためにしていることだと思った。でも違うんでしょ?」


「お前は、彼女に、グレースに・・・悲しい想いをさせた“人間”を、憎んでいるんだろう?」



そこまで言うと、セドリックは目を開け



「そうだよ」



静かに呟いた。



「そしてその殺した男が、ローズの」





「ローズの父親か・・・・・?」

















< 128 / 149 >

この作品をシェア

pagetop