イケメン霊能少年の憂鬱
あの封印が解かれた時、
感じた力も同時に穴から
湧き上がってくるようだった。


――これは賭けだ

龍の残された力をすべて手に入れるか、
悪霊に呑み込まれるか。


オレをナツからふりほどかれた
自分の手のひらをみつめて、
それを握り締めた。


――すべてを失ったとしても
  オレにはもうなにもないんだし
  構うもんか


そして、
ポケットに入れた
ネイルチップに触れると、
不思議と死者のざわめきが
静まるように思えた。


――オレにはこれだけで充分だ


一旦降りたら
もう戻れないかも知れなかったが、
それも構わず飛び降りた。

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