イケメン霊能少年の憂鬱
それは誤った信仰だったハズで、
龍はそんなものは必要とせず、
却ってその悪霊を
抑えこまねばならなかったのだ。


悪霊がここに満ち溢れた結果、
村に災いをもたらし、
ついにはこの龍の穴は
封印されたのだろう。


――柵が!
  もう、戻れないのか……!?


もう柵など朽ち落ちていたハズだが、
オレの目の前には柵があり、
そこからもう出られなかった。


オレの横には、イケニエたちが
狂った形相で柵にへばりつき、
振り向くと、
餓死寸前で狂気に落ちた女や、
悪霊に呪い殺された屍が
ころがっている。


オレは恐怖のあまり、
また気を失っていた……
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