ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜
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夕食後、本当に久々に、というよりこの世界にきてから初めて、お風呂に入った。
驚くほど広い大浴場をうららはひとりで満喫し、感激で思わず涙ぐんでしまったほどだ。
疲労も空腹も苦痛だったけれど、やはりお風呂に入れなかったことは一番の難点だった。
水浴びにも限界があったし、いつも人目が気になって仕方なかった。
お腹も満たされ、身体も癒され、ふかふかのベッドもある。
もうすぐみんなの願いも叶う。
今夜はきっとぐっすり眠れる。
そんな気がした。
部屋に戻ると広い室内は意外なほど静かで、部屋の壁際に対照的に並べられたベッドには、それぞれ膨らみと共に規則的な寝息が聞こえてくる。
夕食後、男子メンバーもお風呂に行っていたはずなので、みんな同じように身体も心も癒されてあっという間に眠りに落ちたのだろう。
部屋の明かりをそっと落とし、うららも自分のベッドに静かに腰掛ける。
ふと隣りのベッドに視線をやると、そのベッドを頑としても譲らなかったコトの発端でもあるリオが、いない。
ベッドに一度入った形跡は見られるものの、今は無人だった。