最愛の人


両親が亡くなってからあたしを引き取って育ててくれたおばあちゃん。


出かける事は滅多にない。
それに、あたしに黙って出かける事はほとんどない。



だから、家におばあちゃんが居ないのは絶対におかしい…



さっきまでの楽しいって気持ちはもう一切ない。
今のあたしは不安と恐怖で一杯だ。




静かな家には物音一つしない。
それは、ここにはあたししかいないって物語ってるってことでー…



「…わぁっ…」


いきなりの電話に心臓が止まるかと思った。


「……はい。」









電話に出たのは覚えてる。
でも、その先はほとんど記憶にない。



気付いたら病院にいて

病室のベットに寝ているおばあちゃんが目の前にいた。



色々な機会に繋がれているおばあちゃん。

その周りでは看護師さんやお医者さんが忙しそうに処置をしている。



でも、みんなの動きが止まった。


「え?なんで…?やめないでよ。まだおばあちゃん起きてないよ?」



次の瞬間あたしの耳に入ってきた言葉は信じられないものだった。







「手は尽くしましたが…お亡くなりになりました…。」




< 22 / 53 >

この作品をシェア

pagetop