原色ヤンキーにメガネ
良子達の脇を『ちょっとすいません』なんて言いながら、禿げかけたおじさんが通って行く。

まるで何も起こってないみたいに……。

(ちきしょう!全部スッキリ禿げてしまえ!!)

良子は相当場違いな八つ当たりをしながら、遠くなるおじさんの背中を睨んだ。

(だって、いつもこうなんだ)

何かが確かに起きているのに、端から見れば何も起こっていないかの様に見える。

(なんだよ、もう……)

ダサいスクール水着姿を見られて、脅迫され、嘲笑われ……

しかもシンネやナルセみたいな進学校の形だけのにわか不良みたいな男子にバカにされ……

あまりに惨めで良子は必死に涙をこらえた。
< 128 / 271 >

この作品をシェア

pagetop