原色ヤンキーにメガネ
「さすがに相澤の連れなだけあって、男も黒ブチメガネなわけだ。メガネコンビ?いや、メガネカップル?」

シンネがメガネにキャップを被った玉置を、上下に首を振りながら覗き込む。

にわかヤンキーのくせに、相手が格下だと思った途端にこの態度だ。

去年、駅のホームでカツアゲされていたシンネとはまるで別人だ。

その日たまたま早退した良子が駅のホームに降りると、シンネが西高の不良に肩を抱かれていた。

そしてシンネはすかさず財布を献上して、数枚の諭吉さんが無事に抜き取られたのだ。

(『これで全部です!』って半泣きだったくせにさ)

そんな事を考えていると、今度はナルセが良子をニヤニヤと見下ろす。

「いやいや……男連れとはねぇ。相澤ちゃんも鉄パンツのくせに頑張ってんじゃね?」

ギャハハ……とまたナルセとシンネの下品な笑い声がコンクリートの壁で必要以上に響いた。
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