原色ヤンキーにメガネ
(ぐぉぉ……)

こんな坊っちゃマンにわか不良に小突かれただけで泣くなんて、絶対にごめんである。

良子が震える拳を握りしめ、奥歯を噛み締めた時、

「あれ~?ヨッちゃんまたカツアゲー?」

とのほほんとした声が響いた。

「…………」

なぜいつもカツアゲだと思うのか。

もしかしたら『可愛いな』で貞操の危機かもしれないのに。

(携帯小説ならぜったいにそうなんだよッ!?)

良子は声の主を見た。

「ビーがタンゴブ出来ちゃってさ、横になってデコを氷で冷やしたら、医務室で寝ちゃってさぁ……。それをヨッちゃんに言いに来たんだけど……」

「あ……そう。そっか。寝ちゃったのか」

玉置と共にやってきた風が頬を撫でた。

横に来た玉置を見上げた良子の目から涙がスゥーッとひいていく。
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