原色ヤンキーにメガネ
「……そうだね」

「あ、良子明後日から夏期講習なの覚えてる?」

「……そうだっけ?」

実はすっかり忘れていた。

一応大学受験を控えた高校三年の夏休み。

さすがにずっと家にいるのもどうだろう、と思った良子は普段通っている塾の短期集中型夏期講習に申し込んだのだ。

(けど、やめときゃ良かったかも)

なぜなら、今年の夏は塾に行かなくても意外と忙しく過ごしている。

「しっかりしてよ?んもぉぉぉ!」

「ごめん……。ジェ、お母さん」

牛顔負けの唸り声と共に和室から覗いた母の顔は今朝もやっぱりジェーソンだった。

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