原色ヤンキーにメガネ
ここで母はプッと噴き出す。

「『バカ息子、セイバーイしておきますから』って」

「……セイバーイ?……って成敗?」

「そう。『成敗』しちゃうってさぁ」

可笑しそうに笑う母の声を聞きながら、良子の頭の中ではホウキを持ったテレさんが玉置を追いかけていた。

コバヤシ並みにあの店の中を追いかけられたか?

「玉置君、とんだ災難だなぁ……」

「あ、それからあの……新年君だっけ?あの、めでたい子」

『新年君』を『めでたい』と捉えるあたり、この二人かなり似たもの親子である。

「新年君の家に電話したら、『うちの息子が女の子に殴られるわけありません』の一点張りでさ。一応謝っておいたけど、『謝って頂く義理はございません』って。やな感じー。……でも、ま、良かったじゃない?謝んなくていいみたいだし。ね?」

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