原色ヤンキーにメガネ
(そっちだったのか……)

それは思いつかなかった。

だからさっき玉置君何か言いたげだったのだ。

今思えばさっきの態度は、失礼の塊だったんじゃ?

失言以前の問題だったんじゃ?

ヒュウーッと良子の心に凍てつく風が吹き抜けた。

(……あ、あとで謝ろう。バカにしてごめんって。バカだと決め付けてごめんって──)

ジッと一点を見つめる良子を見て、テレさんの豪快な笑い声が店内に響く。

「バカナノモ、ホントダヨー!!アイツ、バカヨ~。キニスンナヨ~。セーセキモ、ソッチモ、アブナイ、アブナイ。ヨロシクタノムヨ」

バシバシと肩を叩かれて、良子は

「はぁ……」

と気の抜けた返事をした。

どうも玉置家の家族は緊張感に欠ける気がする。
< 162 / 271 >

この作品をシェア

pagetop