原色ヤンキーにメガネ
次の日、良子は塾を終えて薄暗い階段を降り白いビルを出る。

約束通りガガンに向かうつもりの良子は今日も近道の『でちゅよ保育園』を通る予定だ。

駅前の交差点で信号待ちしていると

「……いざわさん?相澤さん?」

と背後で声がする。

(あぁ、なぜ?)

なぜいつも『相澤さん』と呼ぶ人達に出会ってしまうんだろう。

『相澤さん』と呼ぶという事は、別に親しくもないわけで

(わざわざ呼び止めなくてもよくないか?)

重くなった頭を回すとそこにはニッコリ微笑む明美がいた。

「あ、やっぱりそうだ。久しぶり。……プール以来?」

「……だよね」

明美に会うのはもちろんあのジャガー良子以来である。

お互いに気まずい空気が流れる。
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