原色ヤンキーにメガネ
「……塾?」

しばらくの沈黙の後、会話の糸口を探すように明美が口を開いた。

「……まぁ。うん」

「……そっか」

そしてまた沈黙がやってくる。

(なんで?横田さんは話かけてきたんだろ?)

こんな居心地悪い空気なんだから、『じゃあ』とか言って去って行ってくれないだろうか。

人付き合いに慣れていない良子はこんな時、どう切り返せばいいのかよく分からない。

(うおぉぉ、青になれ!青!あッ、おーッ!)

ひたすら信号が青になるのを願う良子。

そして明美もこのギスギスした空気に堪らなくなったのか、

「あ、あのう……私はこれから葉月ちゃん達と会うんだ」

と聞いてもいない余計な事を話してくれたりする。

「あ、そう」

(ってかそれ、ほぼ地雷。わざわざ言わなくて良くないか?てか言っちゃダメだろう)

葉月の名前もジャガー良子も思い出したくもない良子は、明美の言葉に小さな苛立ちを感じ始めてしまう。
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