原色ヤンキーにメガネ
「……あぁ!」

良子の脳裏に蘇るパイプ椅子とジャガー良子。

古田はため息交じりに机を二つ挟んだ自分の向かいの椅子を指差す。

「……夕べ、新年の親ごさんから電話があったんだ。……心当たりあるか?」

探るような古田の視線を避けるように、良子は小さく頷きながらギギッと椅子を軋ませて座った。

「そうか。……で、そのプールでの事だけど──」

「あの、センセ、何で今さらシンネそんな事言い出したの?だって……うちの親が電話した時は『うちの息子は殴られてません』って認めなかったんだよ?変じゃない?」

「ふーん。……さぁ」

(……この体育教師め!そこ重要だろ!)

キッと古田を睨む良子だが、睨まれたことなんてまるで気にしない様子で古田が続けた。

「そんで、相澤と一緒にいた男子についてだが──」

(そっちか!そっちだったか!)

想定外の展開にまた良子の胸がドキンと跳ね上がる。

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