きみとベッドで【完結】
「……大丈夫。泊まるところはあるから」
「そう? ならいいんだよ。今度はどんな男をたぶらかしてるのかな?」
あたしは目をふせて、グラスのふちを指でなぞる。
「優しくて……残酷な人」
「へぇ? わりとまともな男っぽいな。安心したよ」
「あはは、なにそれ。意味わかんない」
「あれ、ちがった?」
「知らないよ。そんなことより、用があったんじゃないの?」
幹生は氷を割りながら、うなずく。
「忘れてた。7月7日におまえ、ステージ立ちたいって言ってたでしょう。マスターがいいよってさ。だからいつもの時間にね」
「そう。……ありがと」
ほっとして、同じくらい緊張して。
あたしはコーラをごくりと喉に流しこむ。