きみとベッドで【完結】


「シキ……?」



そのまま何もまとわず、


ぺたぺたとシキはリビングの方に消えていく。



温もりの消えた腕を、自分の目に当てた。



「最低だな……俺」



すぐにコンロに火がつく音が聞こえてきた。


自分でココアをいれるのか。


俺がすぐ、入れてやればよかった。



薄暗い部屋でひたすら反省していると、


シキがカップを1つ持って戻ってきた。


湯気のたったそのカップが、すっと前に差し出される。



「シキ?」


「飲んでいいよ。つらい時とか、元気がない時とか、ココアを飲むとちょっと気持ちが落ち着くの」


「俺は甘いのは……」



わかっているくせに、なぜココアなんか。


もしかして、怒ってるのか。

< 76 / 339 >

この作品をシェア

pagetop