きみとベッドで【完結】
「素敵なドレスだね、シキちゃん」
スタッフルームで、ちょびひげがトレードマークのオーナーにそう言われた。
今日着ているのは、真っ赤なミニドレス。
オフショルダーで、体のラインに沿って揺れる生地が気持ちいい。
「それも幹くんのお見立てかい?」
「ちがうよオーナー。彼氏からのプレゼントだってさ」
「ほー。彼氏からの? もしかして、今日の予約席は彼氏のために?」
あたしは苦笑して首を振った。
「ちがうのオーナー。彼氏じゃない」
「なに照れてるんだか。さっきは素直に“うん”て頷いてたくせに」
「うるさい幹生」
きつく睨む。
でも幹生は笑顔をはりつけたまま、オーナーに向って肩をすくめるだけ。
この男には負ける気もしないけど
勝てる気もまるでしない。