危険な誘惑にくちづけを
 水島、なんだか似てるんだもん。

 その……

 たった一回、写真を見ただけ、なんだけど……



 ……由香里さんに。

 雰囲気が、似てる気がする。

 紫音も、わたしのコト、好きだっていう、自信がある。

 由香里さんのコトは、たぶん。

 まだきっと、紫音の中にいると思うけれども。

 自分の中では整理しているだろうし、外見だけ似ているだけじゃ、好きになったりしないと思う。

 だけども……

 わたし、紫音を試すようなコトしたくなかったし。

 大分傷ついたコトもあったらしい、由香里さんの記憶を。

 こんなに幸せな、今の時間の中に、持ち込みたくなかったから。

「ごめんね? 水島。
 今回は、ちょっとはずしてくれないかな?」

 そう、水島に伝えると。

 彼女は、流し眼をきらり、と光らせた。

「あら、そう?
 やっぱダメ?
 春陽は、彼氏さんのコト、信用してないのかな?」

「そんなわけじゃ……!」

「イヤ、なら仕方ないけどさ。
 佐倉君が一人だけ、春陽について行ったら。
 ……彼氏さん、春陽のコト心配で。
 留学先に、戻れないんじゃない?」

 それも、そうかもしれないけれど。

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