怖がり少女と吸血鬼


「瞳はオドオドしていて、焦点が定まっていないし、体も強ばって時折震えている」


黒沢くんの真っ直ぐな視線を外して、あたしは自分の重ねた手を見ながら言った。


「私、もともと怖がりなんです」




―――ふわっ


「!?」


急に、人肌の温もり。

ビックリして顔を上げると、あたしは黒沢くんに抱きしめられていた。


「えっ、ちょ…黒沢く」

「怖くなくなったか?」


「へ…?」


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