砂に書いたアイラブユー
第7章
     7
「おはよう、駿一」

 
 ――ああ。……早いね。


「そう?あたし、別にこのぐらいの時間には普通に起きてるわよ」


 ――俺は最近夜型になったからかな?寝るのが君よりも少し遅いんだけど。


「何か書いてるんでしょ?」


 ――ああ、まあな。


 僕が頷き、眠たい朝にコーヒーを一杯を、と思って、キッチンに向け歩き出す。


 受話器越しに奈々が疲れている様子が十分感じ取れていた。


 夏の疲れがドッと出てきた証拠だ。


 そして僕はケータイの受話器を持ったまま、キッチンで薬缶に水を入れ、お湯を沸かす。


 さすがに九月に入ったので、熱々のホットコーヒーを飲みたいと思っていた。


 確かに暑さはまだまだ残っているが、僕はだいぶ朝晩が涼しくなったのを感じている。

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