砂に書いたアイラブユー
第17章
     17
「桜綺麗ね」


「ああ」


「花の命は短いって言うから、すぐに散っちゃうかしら?」


「うん。俺もそう思う」


 一瞬だけ俯(うつむ)き、コーヒーが淹れてあったカップに口を付けた奈々が、


「駿一」


 と僕の名を呼ぶ。


「何?」


「今から行ってみない?」


「どこに?」


「海。去年の夏に行ったばっかりだけど」


「そんなに海に憧(あこが)れてるんだ?」

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