天使になれなかった。

あたしは黙ったまま、怖い顔してこちらを睨んでいるクラスメイトの顔を一人一人みた。


「麗奈は中学の頃から凛羽がすきなんだよ!」

「そうだよ!ずっと麗奈は想ってんだよ!」

「超純愛だし!テメーみたいなただのミーハーとは違うんだよ!」



中学の頃から好きだった。

何を?


擦り切れた心に気付かれないように必死の笑顔を貼り付けた凛羽を?


彼女は、自分で作り上げた幻想に恋をして純愛ごっこに酔っているだけだ。

だって彼女は“蓮見凛羽”をみたことがないのだから。


何年間も凛羽をみてきて一体何を受け止めたのだろう。


全部、彼女自身が作った幻だ。



───何年間もの純愛なら、どうして壊されていく凛羽の姿を早く見抜けなかったの?



歯をくいしばって、震える拳の衝動を必死に抑えた。


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