天使になれなかった。


その声がピタッととまったかと思うと、今度はすすり泣きのような声がしてきた。

あたしの体は硬直して動けない。



『……凛羽……アンタも遠くにいくの?あたしから離れていくの……?』













『大丈夫だよ。……母さん』







心臓が大きく高鳴った。
はっきりと聞こえた言葉。

“母さん”


今、玄関にいるのは凛羽の母親──……



< 88 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop