開かない窓
「優一君、鈍いよね」

「え?何が?」

意味が解らず聞き返すと、悠里は頬に軽く手をあて、少し困ったように笑うと
「何でもないよ」
とだけ言った。

その時、授業の開始を知らせるチャイムが教室に鳴り響いた。辺りを見回すと、もう俺と悠里以外の生徒は残っていなかったみたいだ。

「げっ、急がなきゃ」


俺達は慌てて机の中から教科書をひっぱり出し、全速力で次の教室へと向かった。
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