不良の弟




「それにしても…信じられなさすぎる…だって、見たことあった?あの2人」


「んー?」


梨花は少し首をかしげて、頑張って思い出そうとしてた。


「あったよ。…ん?ちょっと待てよ?」


一休さんみたいなポーズをとると、目をつぶって、多分精神統一をし始めた。


「はっ!」


急にぱっと目を開けて、声を出すものだからあたしの体はびくぅとなった。


「思いだした。…あたしが奴らを見た日に限って、詩織は休んでた。あたしの記憶に間違いはないわ!」


名探偵みたいに目線をぴしっとして、腕を組みながら言った。
でも、休んでたって…



偶然?それとも必然?




梨花を見ると同じ事を考えてるみたいだった。

「入学当初の事を考えるとやっぱり、詩織が休む日を狙ってきたとしか思えないね」


あたしも頷く。
脅しも掛けてたくらいだもん。
そんくらい、用心深くても変じゃない。


「そうなると…狙いは、零だったのかな?」



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