不器用なLOVER
「まあ、生徒会の仕事も、雑用を含めて略、
僕一人でやってるから、
これくらい当然でしょ」

相変わらず無表情だけど
少し得意気に見える。

「あっ、だからあの時も昼休みにここに居たんだ」

デスクのチェアに腰を下ろし、目を閉じる彼を横目に、ソファに座った。
思った以上に柔らかいのでバランスがとれず後ろに倒れる。
恥ずかしさに、彼を盗み見た。
良かった。
見られてなかった。

「…高島先生のクラスなら、
丁度今空きがあったな」

何を言われているのか、
当然検討もつく筈がなく

「…高島先生のクラスだって、どうして…

言い終わる前に、
半ば呆れたような、
声が返る。

「職員室、理事長と居たでしょ。
それより、今度の体育祭実行委員
君のクラスからは選ばれてないんだ」

そう言えば、あの時が出会いになるんだよね。

ぼんやり思い出していた。

「…高島先生には僕から言っておく。
頼んだよ?」

えっ?
頼んだよって…。
何だっけ?
ヤバイです。
聞いてなかったとは言えないよ。

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