不器用なLOVER
sixteenth preparation
「何でもないから…」

呟いて、体を離した。

「この間の保護者会の内容と、
当日のルールやマナーを詳しく表記したものだよ」

眼鏡を指先で押し上げ、
生徒会長の仮面を被る。

「後は近隣住民への願書と挨拶」

パソコンに向かい合ってしまって

「…朋弥さんにも何?」

顔も向けずに、

「時間ないから…手動かして」

痛言する。

【アイツも俺を侮ってやがった。許せねぇんだよ…】

朋弥さんの悲痛な声がリバイブし胸を締め付ける。

透弥さんは朋弥さんのことホントはどう思ってるの?

【朋弥も頑張ったんだ】

って嬉しそうな透弥さんがいた。

それだけでも朋弥さんが思ってる様な感じはしなかった。

もしも誤解ならなんとかならないのかな?

何がきっかけで擦れ違ってしまったのかな?

私に出来ることないのかな?

透弥さんも朋弥さんも多分お互いに認め合ってるはずなのに。

「宛名も本当は印刷出来るけど、それだと誠意が伝わらないから」

いつの間にか正面に移動して、

「疲れたでしょ?少し休憩しなよ残りは僕が書くから」

リストに目を通し、

「ほとんど終わらせてくれてるね助かるよありがとう」

目尻を下げる。

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