不器用なLOVER
体を起こした透弥さんの腕に引き上げられ並んで座った。

「本当に勉強しないの?」

テーブルに置かれた本に手を伸ばして聞く。

「うん。だって読書でもいいんでしょ?」

変わらない態度に少し傷付いた。

「いいけど。期末試験で赤点取ったら補習って知ってるよね?」

口角を上げて私を見る。

上目使いで見つめ返す。

「反則だよ」

何が反則なのだろう?
意図が掴めず、首を傾け

「…透弥さん?」

私とは逆に傾けて、
触れたか触れないか分からないぐらいのキスをした。

「晶が悪いんだよ。昨日も言ったけど…隙が有り過ぎ」

唇を手で触る。

一瞬だけど、キスされた

「初めてなのに…」

その言葉に眼を丸くし、
一人納得したように

「…そう。短くて不満だった?」

ソファの背に追い込む。

再び近付く唇に…、
抵抗する間もなく奪われる。

「ん……っん」

軽く吸っては離しまた繰り返す。

ただそれを受け止めることしか
出来なかった。

名残惜しそうに離れると、

「どうして嫌がらないの?」

長い睫毛を伏せて視線を下げる。

「透弥さんこそ…好きでもないのに、どうしてキスするの?」

涙が溢れる。

透弥さんはそれを指で掬いながら

「そんなこと言った?」

眉をひそめた。

「言った自惚れてるって」

思い当たったように、頷き

「嗚呼、そっか…。…好きだよ」

とても小さく、でも確に告げた。

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