不器用なLOVER
鉄ちゃんと志穂さんの声が重なる

「言った筈ですよ…たった一言…心意だけを述べて欲しいと…。
嘘や遠慮…僕への気遣い等は一切必要無いこともお伝えしました」

最後まで聞くことなく透弥さんが静かにだけど力強く続ける。

「つまりそれはご自分の意志で、お二人が共に望む今後の関係性を明言されたということでは?
僕等の前で確言された通りに…、お二人が交際するかどうかは…、僕の関与すべきことでは無いのでしょうけど…朋弥には在らぬ誤解をさせたくはありませんので…、それだけは宜しくお願いします」

二人は無言のまま透弥さんを見てチラチラとお互いを見合った。

「申し訳ありませんが…
時間もあまり残っていませんので鉄宏さんは早々に僕の泣き虫な、お姫様をお願いしたいのですが」

透弥さんに手を引かれ鉄ちゃんの前に出される。

気恥ずかしさからうつ向く私の
顎に手を添え上を向かせる。

「晶のその顔を見て良いのは、
僕だけだから…」

平然とした態度で囁かれ。

益々熱くなる顔を満足気に見て、柔らかく微笑む。

「さあ…晶」

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