不器用なLOVER

三人にはあの日のことを言えず、いつも苦笑いで誤魔化す。

「あっまた…こっち見てるよ」

衣里の視線の先には、
彼女が私を見て携帯を見せ付けるようにイジっている。

「最近よく見てるね?」

「感じ悪」

登喜子と真姫が睨むと、

冷たい微笑みを残して行った。

「晶?大丈夫?」

「顔色悪いよ?」

私の顔を覗き込むが、

「大丈夫。ちょっと眠れてなくて疲れてるのかな?」

衣里は黙って背中を軽く叩いた。

周りがまた勝手なお喋りを始める頃には授業開始のチャイムが鳴っていた。

彼女の冷たい微笑みは、
あのことを思い出せ、

首筋に腹部に脇に背中に、寒気が走り、

手首が足が、
痛みだす。

胸が痛くて、苦しくて、
呼吸が上手く出来ない…
体が熱くなる、
指先が痺れて、
額から汗が噴き出す、

苦しくて、苦しくて…


「里中、どうした?」

「晶」

「晶大丈夫」

「あっちゃん」

先生が衣里が真姫が登喜子が私を囲み、クラス中が一時騒然となり、やがて息詰まる。



過呼吸を起こした。