不器用なLOVER
「付き合ってはないんじゃないかな?」

自信なさげな返事に三人が顔を見合わせた。

「あのね、ムカつくけど会長ははっきり言って倍率高いんだよ?」

「う〜ん」

登喜子に曖昧に応える。

「ホントに分かってるの?ボーっとしてると誰かの者になっちゃうってこと」

真姫に相槌を打つ。

「あっちゃんは会長のこと好き何だよね?」

衣里を見つめる。

「会長とどうなりたい?」

「分かんないの。今まで誰かと付き合ったことなんてないし。付き合うってどういうこと?」

「付き合うってのは、抱き合ってチュして…」

登喜子の発言を、

「エッチして」

真姫が引き取った。

私の顔は湯気が上がりそうな程赤く熱った。

「もうからかわないの」

衣里が透かさずフォローする。

衣里は優しく笑って続ける。

「会いたくなったら会いたいって堂々と言っていいの。声が聞きたいって思えば電話してもいいんだよ?」

それはワガママじゃないかな?
透弥さん色々忙しいだろうし。

「一緒に出掛けたり、手を繋いで歩いてみたり」

昨日は透弥さん、私の手を自然に繋いでくれたよね。

「直接本人に聞いてみれば?」

真姫が焦れったそうに呟く。

「ああ。そうだよそうしなよ」

登喜子も頷いた。

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