不器用なLOVER
「…不正解」

無感情に透弥さんがペケを付けたノートを見つめる。

「も…っ、もう1問」

「…もう止めたら?晶の課題が増えるだけだと思うけど?」

半ば呆れて言った。

私ってこんなに勉強苦手だった?前の学校ではそこそこ出来る方だったはずなのに。

出来ないことに腹立たしくなる。
悔しくて目頭が熱くなる。
溢れ出しそうになるのを抑圧する

それを正視してた透弥さんの手がノートに伸び、白紙のページを変えた。

書き加えられた問題が2問並んだ

「落ち着いてやれば出来るから」

その言葉に透弥さんを窺う。

この問題はさっきやったばかりだったんだけど。
気付いてないはずないよね?

「どうしたの?やらないの?」

返事よりも早く問題に取り組む。

間違える度に1問ずつ丁寧に解説してくれて、何度も似たような問題を繰り返す。
全く同じ問題なら透弥さんの解説通りやれば必ず出来るよね?

透弥さんのペン先を、声を辿る。

「…出来た」

時間は掛ったけどやりきった。

「正解」

出来て当然だけど透弥さんの採点が素直に凄く嬉しかった。

結果的に10問中8問を間違えて、バツゲームという名の課題は…

「晶も僕に二つ出していいよ」

ってやっぱり私への課題は八つってことですか

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