不器用なLOVER
「あっ…あの。移動教室で
経済が、誰もいなくて…
どこ行けばいいのか…」

しどろもどろで意味不明になる。

「落ち着いて…先ず前回の授業を思い出してみなよ?教師が最後に
次の授業のこと言ってたはずだから」

まだ彼の腕の中にいるからなのか
静まらない動悸。

「…寝ちゃって。覚えてない」

この前の経済の授業は、
先生の声が眠りに誘わせたから…

短い溜め息が耳にかかって
胸が更に高鳴った。

「だったら、クラスの人と行けば良かったんじゃない」

最もですが…。

「戻ってきたら、もう居なかったんだもん…」

「戻ったら?」

そこ突っ込まないでよ
恥ずかしいじゃん。

「化粧直し?仕方ないな…」

無情にもチャイムが鳴ってしまった。

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