イナフ ー失われた物語ー 【小説】
長い夢を見ていた
誰かに追われている?
落下
落下
落下…
何処だ?
此処は…
暗い
鬼火が…
夜の砂浜だろうか?
口の中から砂が溢れてくる
とめどなく
サラサラと
黒い生き物に腰を抱かれている
それから逃れられないのが
なぜかわかっていて…
腰から溶けてしまいそうな性感に
絶望感が身体中に満ちてくる
彼が去っていくのが見える
待って
待って
待って…
砂が…
体を埋めていく…