イナフ ー失われた物語ー 【小説】




長い夢を見ていた


誰かに追われている?

落下

落下

落下…

何処だ?

此処は…

暗い

鬼火が…

夜の砂浜だろうか?

口の中から砂が溢れてくる

とめどなく

サラサラと

黒い生き物に腰を抱かれている

それから逃れられないのが

なぜかわかっていて…

腰から溶けてしまいそうな性感に

絶望感が身体中に満ちてくる

彼が去っていくのが見える

待って

待って

待って…


砂が…


体を埋めていく…








< 26 / 61 >

この作品をシェア

pagetop