君の声、僕の歌姫
真っ青な青空の下での出来事です。


「ラウトっ! 無茶したら駄目でしょ? また怒られるよ?」
「大丈夫だって……ったー! 何するんだよ暴力女」
「ラーウートォー? まだその右腕は完治していないんだから、振り回したら駄目だって言わなかった?」


力をつけようと剣の素振りをするラウトを、ローゼが止めました。

彼の手は本来ならば切り落とされてもおかしくない状態でした。

しかし彼の中の魔法使いとしての力の所為か、その状態を奇跡的に回避していました。

今もまだ治療を続けていますが、治るのには相当の時間がかかるそうです。

その証拠に、ラウトの右腕は包帯でぐるぐる巻きでした。


「そういえば魔法の力、まだ残っているの……?」
「フェネルに返したくても“もうそれはお前の力だ”ってさ」
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