恋・キオクの蕾
同じクラスの奴らの名前を


一通り見る。


ん?


女子の中で


一際目立つ名前があった。


えーっと・・・


『お!圭お前ラッキージャン☆
 春野桜と秋野優奈と同じクラスでッッ♪
 いーなぁ』


『春野・・・さく・・ら』


いかにも今の季節にピッタリの名前だな。


・・・どんな奴なんだろ。


なんか聞いたことあるよーな


ないよーな・・・?


『圭?』


『あ?何』


『いや・・・。ジィ~と
 “春野桜”の名前見つめてっから・・・。
 もしかして圭・・・?♪』


俺の顔を見ながら


ニタァと薄気味悪い笑みをする結城。


『な・・何だよ。 
 キモチ悪ぃ・・・』


『そうかそうか。
 やぁっと圭にも本命ができたか・・・☆』


『はぁ?
 なんだよソレ・・・』


変なことを言う結城の


頭を叩こうとした時――――




「あ。あった!私の名前☆」




他の奴らも同じ様なことを言っているのに


そいつの声だけが


妙に俺の頭に響いた―――――
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