三日月の雫

渋々と言うけれど、僕はユウヤがすぐに新しい特攻服を買うことはないだろうと思った。



「あ、そういや、かんなちゃんは元気ですか?」

「えっ?……あぁ、うん…」



ユウヤは…と言うより、僕に近いヤツ以外は、僕とかんなが別れたことや、別れた後もズルズルと関係が続いていることを知らなかった。


わざわざ言うことでもないと思ったから、僕は自分からは話さなかった。



「今度、隆二が結婚するらしいっすよ」



隆二というのはユウヤと一番仲の良いヤツだ。

あまり話したことはなかったけれど、ユウヤのそばにいつもくっついていた。



「永輝さんもそろそろ身を固めた方がいいんじゃないっすか?」



ユウヤが肘で僕をつつきながらニヤニヤする。

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