やさぐれ妊婦

熱くなる私を見る友人の目は冷たかった。

「勝ち組の台詞って感じ」

「えっ……」

まるで頭から水をかけられたようだった。

友人は大儀そうに大きな溜息をついて、それから静かに冷ややかに語りだした。

「公立の保育園の一時預かりの状況とかわかってんの?

はっきり言って、一見さんの入る隙なんてほとんどないし。

待機の子たちが色んな園の一時預かりを使いまくって、どうにかしのいでんだって。

シッター雇う?高くても無認可?冗談言わないでよね。

お金の為に働きに出たい人が、仕事探しにそんなにお金かけられるわけないし。

好きな仕事を続ける為の必要経費?そんな経費を捻出できるのは恵まれてる人。

この不景気でさ、頑張ったからって仕事が見つかるとは限らないしね。

だいたいさ、子どもを誰かに見てもらわないと仕事探せないのにだよ?

職場は職場で“子どもを預けるあてはあるのか?”って聞いてくるわけだよ。

なんかさ、なんもわかってない世間知らずの主婦が甘えたこと言うな!みたいな?

そういうの、はっきし言ってむかつくんですけど?上から目線、みたいな……」

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