女優デビュー
「こらっ!」


後ろから学さんが声をかけてきた。


「心配かけて。
不良娘が!」


コツン、とゲンコツが降ってきた。

でも、それはちっとも痛くなくて。


「ごめんなさい」


私が首をすくめると、今度はポンポンと優しく頭をたたかれた。


「寒くなってきただろ。
車に行こう」


先に立って歩く学さんの後ろ姿を見ながら、ホントは少しだけ一緒に夜景を見たかったな、と思った。


でも、もう今夜はこれ以上わがまま言えない。


私は黙って学さんの後を追った。

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