女優デビュー
「あ、ごめんね。
ちょっとからかいすぎちゃったかな。
悪い、俺、千夏ちゃんくらいの年の子と最近あんま接してなくて。
ホント、ごめんな?」


「いえ……」


若く見えるけど、奏真君、25歳だもんね。

私と10歳も違う大人なんだ。

私はふるふると首を振った。


「大丈夫です」


奏真君は頭を掻きながら話を変えた。


「今度のドラマの原作ってさ、ケータイ小説らしいじゃん。
千夏ちゃんは原作読んだ?」

私は話が健全な方向に変わったので、肩の力を抜いた。

「あ、はい。
ドラマに出ることが決まってから読みました」

「そっか。ケータイ小説って、女子中高生の間ですごい流行ってるらしいね。
千夏ちゃんも前から読んでたの?」

「いえ、存在は知ってましたけど、私も読んだのは今回が初めてです」

「そっかあ。
それにしても、今回、役名が自分の名前と同じじゃん?
やりにくくてしょうがないよ」

「え、そうですか?
私はわかりやすくていいなと思ったんですけど」

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