AEVE ENDING






「俺たちを守る為に、こんな…」

ロビンが悔しげに息を吐く。
視線の先には、皮膚の半分を炭化させた憐れな神が、ふたり。

ロビンの説明を聞き、奥田はだからか、と納得する。

(…一度解放した能力を再び取り込んで、腹の中に押さえつけたわけね)

それならば、雲雀と倫子の尋常ではない外傷も頷ける。

(それなら、倫子は大丈夫かもしれない。研究時に鍛えられた体は伊達じゃない)

恐らく本能的に仮死状態に意識を落としている。

これならば治癒がしやすい上、蘇生の可能性もぐんと上がる。


(…問題は、雲雀くんだね)

彼は『修羅』とはいえ、普通のアダムの体と変わらない。
多少の差はあろうが、こうなった今、どこまでもつか―――。




「―――オクダ」

手術の優先順位、進行を考えていた奥田にロビンが目配せをする。

「雲雀にはまだ息がある。それにこいつ、ギリギリ被害を外傷だけに留まるよう力を制御してたんだ。内臓にはほぼ異常はないと思う、…多分。橘は雲雀以上に守られていた筈だから、一先ずふたりに皮膚の移植を。弟、お前、手伝えよ」

先程まで泣きべそを掻いていたというのに随分と手際よく指示を出す。
消沈し、ぐずぐずと泣いている真鶸の頭を慰めるように撫でた。

自然、奥田の口角が上がる。


「…ロビンくん、君、もしや」
「アナセスの役に立てるよう、医師免許は取得済みなんだ」
「わぉ、すごいね」
「任せろ」

ガラガラとけたたましく医務室を通りすぎて、隣の集中治療室へと運び込む。

本来ならば病院へ運ぶところだが、今のこのふたりにその移動は堪えられない。

なにより、箱舟内の治療室でも助かる見込みがある。


―――何故ならば、執刀医が奥田たきおだからだ。







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